近年、働き方改革により労働時間の削減が求められています。また新型コロナウィルスの対応でリモートワークを本格的に導入する企業が増えています。
それは素晴らしいことですが、不用意に進めれば、組織内におけるコミュニケーションの質の低下が起こるのではないかと考えています。実は働き方改革とコミュニケーションの問題は1セットなのです。それに対する一つの解になる本があります。
我々がコミュニケーションがうまく行かないと感じる理由は、心の底にあるニーズを理解出来ていないからなのです。
NVCとはどんなメソッド?
NVCとは、Non-Violence-communicationの略で日本語では非暴力コミュニケーションと訳します。
心理学者マーシャル・ローゼンバーグによって体系づけられた「心の底から与えるよう導くコミュニケーションの方法」です。日本では共感的コミュニケーション・協働コミュニケーション・思いやりのコミュニケーションなどとも呼ばれています。
Microsoftのサティア・ナデラがCEO就任時、会社の風土を変えるためにすすめたことや、書籍『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』でも、ティール組織における具体的な手法の事例として記載があることで、注目されています。
コミュニケーションを定義する4つのステップ
NVCでは、コミュニケーションを構成する要素を観察(Objective)、感情(Feeling)、欲求(Needs)、要求(Request)の4つに分けています。
人と人とのコミュニケーションがうまくいかない最大の理由は、心の底にある欲求の部分を無視してしまうからだとNVCでは考えており、その部分をきちんと把握するため、相手を観察しそれに対する自分の感情を見極め、その上で相手への要求リクエストをすることが大切だと考えているのです。
そして、正しく要求を伝え合えば良質なコミュニケーションが取れると考えているのです。
日本人は、察することや和をもって貴しとなすという精神を一見大事にしているようで、実のところはそれは、自分や相手の心の底にある欲求を無視して場の流れや、権威者の意見に賛同することを良しとしてきました。
ですが、それはパワハラやセクハラ、また多くの組織から活力がなくなり衰退していく要因にもなっているのです。
働き方改革はコミュニケーションの改革も重要
一昔前の飲みニケーションのような不毛な付き合いは不要ですが、組織における意志決定を浸透させたり個々人をきちんと尊重する文化を創る上では、コミュニケーションのコストをどう見積もるかが重要になります。
今盛んに行われている働き方改革の議論は、労働時間の削減や作業の自動化による生産性の向上の話題ばかりですが、コミュニケーションの質を良くして生産性を上げるという議論はあまりみません。
これは、多くの日本人にとってコミュニケーションは学ぶ対象であるという意識がまだまだ希薄だからなのではないかと予想しています。これは自分自身を振り返ってもそうでした。
コミュニケーションの問題の本質は、自分と相手が何を求めるいるかをきちんと把握すること、そしてそれをどう明らかにしていくかかが重要になります。その意味でNVCは大きな助けとなるメソッドだと言えます。
今日のアクション
お世話になっている茅場町のコワーキンズスペースCo-EdoさんでNVCの勉強会が開催されます。新型コロナウィルスが心配だという方にはオンラインでの参加も可能ですので、ご参加下さい。参加申し込みはこちらから。