私、マンガもKindleで読んでおりまして結構な冊数がKindleに入っております。常に新しいマンガはないか探しているのですが、最近深夜のラジオ番組でおすすめしていた「紛争でしたら八田まで」が面白買ったので紹介してみることにします。
地政学リスクコンサルタントが地域の紛争を解決する
地政学っていう言葉に馴染みのない方もいるかもしれませんが、国が所在する地理的な条件がその国に与える政治的、経済的、軍事的など様々な影響を研究する学問です。
例えば、日本と韓国は現在も様々なことで対立していますが、このようなことも日本と韓国が近い場所に無ければ発生しません。また、ロシアが北方領土を手放さないのは、一年を通して凍らない港が欲しいからだと言われています。中東で内戦がなかなかなくならないのみ歴史的な経緯に加え、地政学的な背景が存在します。そのようなことを考える学問です。
「紛争でしたら八田まで」はモーニングで連載されていて、主人公の八田百合がクライアントの依頼を受けて、世界を飛び回って地域でおこる小さないざこざ、いわゆる紛争を地政学の知識をフル活用して、解決していくストーリー。決め台詞の「八田のチセイにおまかせを」がかっこいいです。
複雑な背景をマンガで表現しつつ、きっちりエンターテイメントに昇華している希有な作品です。
43歳で漫画家デビューという異色の経歴
読んでいて感じるのが、このマンガはフィクションとは言え、事実に基づいて書かれており、漫然と日本で報道されるニュースなどを見ているだけでは絶対に書くことの出来ない内容だということ。かなり広範な知識と洞察力、経験がないと無理です。
一体どんな人が書いているのか気になったので調べたのですが、著者の田素弘さんはかなり異色の経歴の方。アパレル、広告、Webデザイン・ディレクション業を経て、30代後半で脱サラ。43歳でこの作品の連載を始めたとのこと。また、イギリスでの活動経験もあるそうです。デザイナーとしての経験を活かしてマンガ家になったという所も面白い経歴です。
きちんと地政学的な問題をバックグラウンドにしつつも、難しい知識を駆使するだけでなく、事件を解決する痛快さとポップなキャラクターを登場されることできちんとエンターテイメントに仕上げているバランス感覚はこのような経歴が生み出しているのかもしれません。
世界情勢を考えるきっかけにも
2巻のイギリス編では、イギリスという一つの国でありながら、イングランドとアイルランドの対立する関係性、そしてブレクジットが引き金となり事件が起きるお話です。
日本に住んでいると、イギリスのEU離脱による日本への影響ばかりに目がいきがちです。経済ニュースでは、日本メーカーの工場がEU域内へ移転するなんてことが話題になりました。ですが、イギリス内部の緊張関係などに目がいくことはあまりありません。
ですが、EU離脱が決まった今、それがイギリスにとって何を意味するのかをマンガという媒体を活かして、きちんとわかる構成とストーリーになっています。
このコロナ禍の中で、今後国際情勢も大きく変化して来ることが予想出来ます。それは我々の生活とも無関係ではないので、その意味でも視野を広くしてくれる作品と言えます。もちろん、単純にエンターテイメントとしても楽しめます。
今日のアクション
2020年8月現在、2巻までしか出ていないので読み始めるなら今がおすすめです、今後もっと注目されるマンガになっていく気がします。