働き方改革を実現するならコミュニケーションの問題と真剣に向き合うべきだ

連日「働き方改革」という言葉を聞かない日はありません。このキーワードを聴くと「労働時間の抑制」や「生産性向上」という話題に焦点があたりますが、私の実感として「コミュニケーション」の問題は避けて通れないと感じています。

なぜなら日本人のコミュニケーションは同質な人なんとなく忖度して、意志決定を行うというスタイルをしてきたからです。同じ組織の人間は、同じ釜の飯を食う家族も一緒。長時間一緒に過ごすことでなんとなく意志決定ができるというスタイルでした。

ですが、本当の意味で「働き方改革」が成立するならこのスタイルは続けることはできないのです。

仕事をするときにプライベートな関係性はどこまで必要か

これは人によって意見が分かれる部分でもあるのですが、私は仕事を他人として行く上である程度は相手の人となりを知って、冗談の一つくらいはいけるくらいのほうが円滑に仕事がまわると感じるほうです。

仕事中の雑談なども過度でなければしたほうが雰囲気もよくなるのではと考えています。やはり人間いつもタイトな状態というのは持たないので少し緩ませるためのバッファというか余白は必要だと感じています。

一方で、今議論されている働き方改革は「生産性の向上」が話題の中心です。もちろん、それは大歓迎ですが、結果として必要な余白の部分もなくなってしまい返って息苦しくなってしまう可能性もあると感じています。

LS北見はなぜクラブチームなのか

平昌オリンピックで一躍注目を浴びたカーリング女子代表ですが、LS北見は北海道のクラブチームです。日本代表とは、全国のクラブチームから選抜されたメンバーが集まるところだと考えていた私には不思議でした。

ですが、試合後のインタビューで「短い時間で複雑な意志決定をするには寄せ集めのチームでは機能しない。普段から寝食をともにしているもの同士のほうがコミュニケ−ションがうまく行きやすいのでクラブチーム単威で出場することになっている」と聴いて納得しました。

選手の人となりも含めて普段から意思疎通をしているから短い時間で高度な意志決定ができるというのです。決して個人のスキルの高さだけでは成立せず、余白も含めて重要なのです。

まさにこれはこれまでの日本型の組織が得意としてたコミュニケーション術だと言えます。

コミュニケーションのスタイルと真剣に向き合う

私の感覚としては、今議論されている働き方改革を推進する中で、ここに挙げたようなコミュニケーションのスタイルはもう多くの職場では出来なくなってくることと 予測しています。働き方も多様化するし、海外の人もどんどん日本の労働市場に入ってくる中で、これまでと全く同じというわけにはいかないのは当たり前なのです。

ただ、これまでの以心伝心的なコミュニケーションにもメリットがあり、闇雲に否定するだけの議論では全く意味がないと感じています。なぜ、昔日本の多くの組織は運動会のような行事をしていたのか、それはそれなりに理由があったこともまた事実だと私は考えています(個人的にはそういうの苦手ですが)。

その上でこれからの新しい働き方に必要なコミュニケーションのスタイルとはどんなものなのかをきちんと考えていかなけば、結局何も変わらないのではと感じているのです。

今日のアクション

生産性向上の名の下の単純にコミュニケーションのかけられる時間を削って行くだけでは、日本の強みを削いでしまい産業の競争力が落ちてしまい兼ねないと感じています。