その生きづらさの正体は社会の分断のせいかもしれない〜【読書レビュー】18歳からの格差論

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近年、日本では格差が拡がっていることが問題になっています。貧富の格差から始まり、教育や職業選択、恋愛や結婚に至るまで格差が広がっていると言われます。なぜそのような問題が生まれているのか、どうすれば解決するのかを根本的に論じている本があります。

18歳からの格差論 

格差の本質とは、社会の分断、すなわち属性の違う人々同士の対話と歩み寄りがなくなったことに起因すると感じるのです。

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昭和50年代に生まれた幸運

私は、母子家庭の家庭で、お金も無くかなり貧しい家庭で育ちました。ただ、幼いころの記憶を辿ると、家が貧乏だと友達にいじめられた記憶はあっても、それが超えられない壁だと感じたことはあまり無かったように感じます。

当時は、日本社会全体が裕福だったこともあり、社会が教育にお金を今よりもかけていたような気がします。まだ、インターネットもスマホも無かった時代で、子供ころの物質的な豊かさが今ほどは、その後の人生の豊かさと直結していなかった気がするのです。

たとえば、今の社会なら裕福な子供はインターネットでより早く深く、自分で学習をすすめていける反面、貧しい子供は、それらを扱う術さえ知らず、そういう世界に触れることも出来ず、差は広がるばかりのはず。

自分は、昭和50年代という時代に生まれたからこと、こうして普通に生きていけているけれども、もし生まれるのが20年遅ければ、貧困の連鎖の中で埋もれていたかもしれないと感じるのです。

日本を蝕む3つの罠

本書では、日本に格差社会を生み出す3つの要因として、「再配分の罠」「自己責任の罠」「世代間の対立」の3つを上げています。

「再配分の罠」とは、日本から所得の中間層が消えていること。これはいろいろな論じられています。中間層が減ることも問題ですが、それ以上に問題なのが、中間層が減ってきている状態で、貧困層の支援を手厚くしようとすれば、中間層の負担が増え、反発を招くことです。結果として、貧困層への支援がいかなくなり、ここに分断が生まれます。

もう一つが「自己責任の罠」。今の日本では、教育のための費用、福祉や介護の費用、病院の利用料まで生きて行くために必要なサービスを基本的には自分で買い入れる仕組みになっています。このような社会では、成長の行き詰まりが生活の行き詰まりになってしまうと本書では警鐘を鳴らしています。

自己責任という風潮の社会では、もし何かの原因で、自分が経済的に身動きが出来なくなった時、自己責任にひと言で支援の手が差し伸べられない可能性が高いのです。

そして、最後が世代間の対立です。国の調査では、医療や年金の充実にはほとんどの人が賛成をするようですが、少子化対策や子育て支援では、高齢者ほど支持されないそうです。そして、当然政府は選挙で勝つために票の割合が多い高齢者を優遇する制度を打ち出さざる得ない状態です。

本書では、この3つの要因が絡まり、今の日本は分断社会となっていると論じています。

自分の実感としても、自分は学費などはほとんど払わずに大学までいくことが出来たので、奨学金を返済出来ない学生のニュースを見る限り、今の社会のほうが厳しくなってるのではと感じています。

対話することがなくなった社会

当ブログはコミュニケーションをブログのタイトルに掲げています。この分断の社会は、人と人とのコミュニケーションを見ていてもなんとなく感じるところがあります。

自分の身の周りを観察していて感じるのは、今の日本の社会は立場の違う人とコミュニケーション、もう少し言うと相手の状況をおもんばかって対話できる場所が極端になくなっている気がしています。

深夜にベテランのジャーナリストがファシリテーターになって、あるテーマについて徹底的に議論する番組がありますが、あの番組、出演している人は自分の意見を言うのに必死で人の話なんて耳を傾けている人はほとんどいないように見えます(だから私はあの番組嫌いです)。まさに今の日本の社会って、あんな感じに近い気がするのです。

個人個人が余裕がないからかもしれないですが、とにかく自分と異なる意見の人と、考えをすりあわせたり、議論をしたりする場所がとにかく少ないと感じています。私が子供ころはお金持ちの子供も私のような貧しい子供も一緒になって遊んでいて、そこまでの分断は感じなかったように記憶しているのですが。

インターネットが普及して、自分に好きな情報にアクセスしやすくなった反面、自分の目につく情報しか見なくなった部分があるのではと感じていて危惧しています。

今日のアクション

今のコロナ禍の状況をみても、人それぞれに守るモノが違うので、まるで分断の象徴のように私には感じます。この問題にこれという解決方法を提案できるわけではないですが、私はもっと深くいろんな人と対話することに勤めたいと感じています。

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