貴方のプレゼンが伝わるために必要なこと〜【読書レビュー】100%共感プレゼン

プレゼンテーションは本当に難しいです。大事な話であればあるほどに緊張してしまってうまく言葉が出なかったり、あるいはここ一番で噛んでしまって変な空気になってしまったり。ですが、物事を進める上で自分一人で完結することは少なく、いかに賛同者を集められるかがカギになります。プロジェクトの成功には、人を巻き込むプレゼンテーションが不可欠なのです。

100%共感プレゼン 興味ゼロの聞き手の心を動かし味方にする話し方の極意

本書の著者は三輪開人さん。NPO法人e-Educationの代表で発展途上国に映像教材をと配布する事業を行うため、今もその熱意あるプレゼンテーションで多くの人を巻き込みながら活動されています。本書には、そんな三輪さんのプレゼンのノウハウが余すことなく書かれています。

三輪開人さんが共感プレゼンを書く理由

冒頭にも書いたとおり、三輪さんはNPO法人e-Educationの代表で、NHKやドキュメンタリー番組が作成されたり、アメリカの経済誌フォーブスでアジアの若手リーダーにも選出されています。

ここだけ聞くと、信念を持ってまっすぐ突き進んで来たように見えますが、本書を読むとそれは挫折と試行錯誤の連続であることがわかります。熱意があるのにそれが周りに伝わらず、離婚や部下の離反など辛い経験をされています。

彼がそんな苦い経験の中で感じたこと、それはプレゼンの中で伝えるべきは正しさではなく、共感だということです。

共感プレゼンの極意

自分のストーリーを語る

聞き手が心を動かされるのは、話し手である僕自身の物語だったのです。単に感動的な物語を話すだけで、聞き手が心を揺さぶられるわけではありません。 目の前の話し手が、その人にしかできない「私の物語」を語ること。誰かの話ではなく、話し手と聞き手が一体感を持てる「私たちの物語」を共有すること。それが、かつての僕のプレゼンには決定的に欠けていたのです。

日本人は、自分の話をすることが苦手なことが多いです。特に会社勤めをされている方でプレゼンをする場合、客観的データを集めて自分の見解を出来るだけ無くすことが求められます。

ところが、三輪さんほど大きなものでなくても、会社と離れたところで、イベントなどで自分のプレゼンをするときに同じやり方をすると誰の心にも刺さらなくなります。話を聴きに来ている人は正しい話を聴きたいのでなく、あなただけの体験を聞きに集まっているのです。

プレゼンはシナリオ、スライド、トーク、トレーニング

もしあなたがプレゼンをすることになったら、まずは何から手をつけますか。 僕は、迷わず「シナリオ作り」から始めることをお勧めします。理由は、シナリオこそプレゼンの基盤になるからです。どれだけきれいなスライドや 流暢 なトークができても、シナリオが良くなければ聞き手の集中力は続かず、共感は生まれません。

プレゼンすることが決まって、だいたい何を話すかが決まったら、すぐにスライドを作りに入ってしまう人がいます。これは悪手です。登壇のテーマが決まったら、どういう構成にするか、書き出してみることが重要です。全体の構成が決まらないと、修正などに返って時間がかかってしまいます。

また、スライドが出来て安心ではなく、きちんと時間は計って話す練習をしておくことも重要です。アドリブが得意という方もいるかもしれませんが、アドリブというのは台本があるから脱線が生きてくるのです。

スライドは必要なのか

TEDトークの動画視聴回数トップ5のうち、2本のプレゼンはスライドを使っていません。最も動画視聴回数の多いケン・ロビンソン卿のTEDトークにもスライドはありません。 つまり、人の心を動かす共感プレゼンにおいて、スライドは必ずしも不可欠だというわけではないのです。

近年、日本の大手企業の中にもスライドの使用禁止する会社が出てきています。これは、図やアニメーションを多用することで、返って本質的な部分がわかりにくかったり印象に残らなかったりするからです。スライドがあることで、聴き手の注意が全てスライドの方に向けられてしまい、肝心の話を誰も聴いていないということはよくあるのです。

私も登壇するときは、スライドを使用しますが、アニメーションは使わない、文字フォントを小さくしすぎないない、など説明に必要最低限だけを書くようにしていますが、今後はスライドなしにも挑戦してみようと考えています。

最後に人を動かすのは情熱である

本書では三輪さんの経験談から様々なプレゼンのノウハウが書かれています。その一つ一つはとても素晴らしいモノです。ただ、いくらプレゼンが上手でも、それだけでは人はついてきません。ノウハウを集めても上手いプレゼンは出来ますが、凄いプレゼンは出来ないと感じています。

本書が他のプレゼンの本と一線を画すのは文章の端々から三輪さんの熱意が伝わってくるところです。プレゼンの本は世の中に溢れていますが、最大の特徴は三輪さんの熱量を感じられる点で、実のところ、プレゼンに限らず人にモノを伝える際に一番難しいところでもあります。

この熱量はどうすれば産み出せるのか。そう考えながら読むとそれが最大のプレゼンの秘訣につながるかもしれません。

今日のアクション

久しぶりにプレゼン関連の本を読みましたがとても参考になりました。私も人前で話すことは多いほうなので、いろいろと取り入れて行くことにします。