AI時代のエンジニアは結局コミュミケーション能力が大事〜【読書レビュー】一流のエンジニアはカタカナを使わない

専門用語を使っている自分ってなんかかっこいい、そんな風に考えてしまうことがないでしょうか。私もブログを書いている時などについつい難しめの言葉を使って自分に酔ってしまうことがあります。

ですが、そもそも難しい専門用語を別の難しい専門用語で言い換えても誰も喜びませんし、ブログなら誰にも読まれません。専門的な知識がある人間こそ、知らない人にわかりやすく説明する意識が必要なのです。

一流のエンジニアは、「カタカナ」を使わない! ―飛躍する技術者8つの条件

エンジニアのスキルアップ術に書かれていますが、自分の専門分野を持つ全てのビジネスパーソンに参考になる書籍です。

テクノロジーが仕事を奪う時代が来ている

近年、ITの世界でNoCodeと言われるプログラムをしないでアプリやWebサイトなどを作れる仕組みが注目を浴びています。また、翻訳の世界では、DeepLに代表されるようにコンピューターが翻訳をする機械翻訳の精度が著しく向上しています。

人間がプログラムをイチから書いたり、翻訳したりする仕事はこれからどんどんなくなることが予測出来ます。それくらいツールの精度が向上しているのです。一部のスーパーエンジニアやスーパー翻訳者を除いて、このようなツールに仕事を奪われていくのでしょう。

このような状況の中、エンジニアに関して言えば、イチからプログラムを書くような仕事が減る一方でAIやツールを使いこなし、顧客の要望を実現したり、翻訳でいえば、言語の裏にある文化的な背景を読み取って、コンピュータが出した翻訳結果を編集するような仕事が増えるということだと予想できます。

本書はそのような時代において、エンジニア(あるいは広く専門的な知識を要する職種の人)がどうスキルアップしてくかの指針が書かれています。

AI時代のスキルアップ術

幅広い知識を持つ

世の中には、異業界にも異業種にもすごい人がいて、どんな分野であっても人から直接聞く話には価値があります。それを 自分の技術を磨くためには必要ないとか、興味のないことに時間を取られるのは無駄だと思っていると、視野の狭いエンジニアになってしまいます。 どんな人の話からでも、自分の目的次第では学びになるのです。

知人コンサルタントの方がある業界の常識は、他の業界の非常識と言われていました。実は世の中で生まれている革新的だと言われるビジネスモデルは、他の業界にすでにあるものを自分の業界に持ち込んだだけのものが結構あります。

ITの世界にいるとどうしてもITの技術的な動向にばかり目が行きがちです。ですが、ITを必要としているのは、IT業界以外の人のはずです。

異業種のことに興味を持ち、様々な人の話を聴いてみる。それが新しいサービスを生み出すヒントになります。

顧客を育てるという意識が重要

いくら専門知識があっても必要とされなければ仕事として成立しません。そのために、顧客にどのように役に立つか理解してもらうことが重要です。

エンジニアには「顧客を育てる」という意識も持ってほしい と思っています。 「こんなことも知らないのか」という態度は相手に伝わってしまいます。顧客がエンジニアよりも詳しいのでは困ります。顧客が、あなたよりもあなたの専門分野については知らないことは当たり前です。だからこそ、顧客はエンジニアに価値を感じるわけです。

例えばITの場合、まだまだ日本のITの普及率は高い訳では無くまだまだIT化の余地があらゆる方面に存在します。ですが、本来ITを必要としている多くの個人、法人はその必要性を理解していません。

これは、ITがどんなものが目で見てわかりにくい上、専門用語を多様しすぎるという業界の性質も影響している気がします。ですが、ITを導入するメリットが理解されればまだまだ需要を掘り下げることが出来ます。そのためには、ユーザーの目線に立って伴走する意識が必要なのです。

マリオやポケモンの生みの親、世界的ゲームクリエイターの宮本茂さんは、未だにゲーム初心者がどこでつまづきやすいを入念に考えてゲームを設計するそうです。そのことがゲーム人口の拡大にとって大事だということがわかっているのです。

常にITに関してあまり知識がない人に向けて発信するという意識が重要なのです。

結局はコミュニケーション力

いくら技術力が高いエンジニアであっても、「顧客が何にどう困っているのかを聞き出すスキル」 がなければ、独りよがりの解決策になってしまいます。  また、「提案する解決策が、相手にとってどういうメリットがあるのかを伝えるスキル」 がなければ、受け入れてはもらえません。  さらに、「顧客の置かれている状況を理解し共感すること」 がなければ、人として信頼されて選ばれるところまではいきません。  

今後、プログラミングや翻訳といった専門的なスキルを要する作業がAIで自動化されていく中で、専門職のビジネスパーソンに求められるスキルは、専門スキルそのものよりも専門スキルどう活かせばユーザーの課題を解決出来るかを考えられる能力になってきます。

ユーザーは何に困っていてのかを察し、的確に提案していける能力、幅広い知識とコミュニケーション能力ということになります。一朝一夕に身につく能力ではなく、これをやれば必ずうまくいくという類いのものではないからこそ、日々の試行錯誤が大事になってくると言えるでしょう。

これからはエンジニアが、心理学などを勉強することも普通のことになるのかもしれません。結局、問題の8割はコミュニケーションなのです。

今日のアクション

エンジニアと銘打っていますが、あらゆる専門知識を必要とするビジネスでの今後指針として参考になる本です。是非、読んで見て下さい。