本当の豊さは失敗できること

ここ10年くらいは日本でも格差が拡がっていると言われています。豊かさや貧しさの基準は金銭によるところがもっとも大きいのはわかりますが、それに付随して、「機会がある」、「挑戦出来る環境がある」というのも大きい気がしています。

私の個人的な経験値からからいけば、豊かさって失敗できることかなと感じているからです。

私は子供のころ、世の中がまだバブルで浮かれていたころに凄く貧しかったです。

ですが、私自身は、家はお金が無かったけれど、家の近所にあった進学校に転がり込み、なんとか国立の大学に入って、普通に就職してという人生を送っています。一見すると、純婦満帆に見えるかもしれないですが、これは挑戦したからというよりも、それしかまとも食べていく道が無かったからという部分が圧倒的です。

高校受験にしろ、大学受験にしろ、公立や国立に行くしかないし、浪人も出来ない状況、正直なところ入れればどこでもいいというくらいの状態でした。実のところ、選択肢そのものがあまりなかったのです。

でも、とりあえず進学出来たし、働いているんだし、問題ないのではという声が聞こえてきそうですが、やはり多感な時期に身についてしまった思考や感情のクセというのはとても大きく、大人になってからのほうが目に見えないところで弊害が出ていると感じます。

一番、ダメージが大きいなと感じるのは、挑戦出来ない、自分でリスクをとってチャレンジするということが全く出来ない性格になってしまったこと。

子供時代から、大事な局面で失敗するということが絶対に出来なかったために未だに、いい意味で失敗するということが出来ないのです。

自分の周りを見ていても、やはり子供のころに挫折を経験している人は、大人になってもトラブルシューティングが凄くうまいし、そもそもリスクを過剰に恐れないなと感じるのです。

そして、この歳になってそういう人たちに対して、少しだけ嫉妬も覚えたりする。あなたたちが失敗出来たのは、豊かだったからなのだとよ。まぁ 大人げないですが。

でも、ひょっとしたら今世の中で言われている格差社会というのも同じようなことなのかもしれない。

例えば、プロゴルファーのように、プロになるには子供のころから確実にお金が必要な分野で日本人が頭角を表している一方で、子供の貧困が叫ばれているのは、お金と同時に挑戦する機会も一部の人に集中しているということなのかもしれないと感じるのです。

今週の気になっている本

こち亀でお馴染みの秋元治先生の仕事術の本です。本は、何が書いてあるかと同じくらい誰が書いたかが重要になるわけですが、継続力というテーマで書いたら秋本先生を超える説得力を持てる人ってちょっと出てきません。

世代的にこち亀を身近に感じるので、なにげない言葉に影響を受けてしまいます。